人の心に触れる事は資格がいるし、面倒臭くてとても難しい事だ。
周りと話しているといつの間にか相手の本質が見え隠れして、ただの雑談から真面目な話に変わる。

―ここからは今まで以上に真面目に聞いた方がいいだろう。

そこからの話は大抵は悩みだったり、過去の間違いだったり、後悔―懺悔事が多かった。
何故、相手はそんな大事な事を私なんかに話すのだろう?
学生時代の頃はよくそんな事を思っていた。

私の存在は相手の中で 侵入する事 を許されたのだと、数年の時間を経て理解した。
人の心に触れる事がこんなに幸せなものだったなんて思ってもいなかった。

勿論、私が侵入する事を拒む人達もいる。
そういう人達は私という人間を勘違いしているのか、分かった上で拒絶しているんだろう。
そういうのを 我が強い というのかは分からない。

ただ分かるのはその人にとって私は必要ない存在って事だけ。

なら、関係に成長もなく停滞し、いつの日か終わりがくるのは当然の事だった。

そんなのは嫌だなぁ。
人の心に触れないと、友人とさえ呼ばない、私の価値観。
……難しいのかなぁ?