雨だからなのかお客様は全然お店にやってこない。
―まあ、のんびりやれるからいいか。
暫く真面目に働いた後、勤務時間終了まで一時間を切る。

お客さんがくる。
「いらっしゃいませ」と挨拶をするが、相手はこちらの顔を見て止まる。
……あれ、この人……ひょっとして……。

「前、〇〇で働いてた?」
「……相当、痩せましたね」

お互いに憶えていた。
と同時に 見つかった というショックが生まれた。

「え……何してるんですか?」
「そりゃ、こっちの台詞なんだけど……」

少しの時間、私達は話す。
「また来るよ」
「……え~…」
「当分、来ないけど」
「どっち…!?」

一年も働いていない場所だったけれど、こうやって繋がりは消えずに残っている。
連絡先も交換していないけれど、その事実が少しだけ嬉しかった。