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二人が帰って暫くして、私は部屋の鍵を閉めて一人泣いた。
理由は色々あって、もうこの三人で遊ぶ事はないだろうという事と正直、緊張していたのだ"三人"というものに。
過去の出来事も思い出し、先程のゲームで二人がクリア出来ないところをクリアしてしまって二人に嫌な思いをさせてないだろうか? 傷付けてないだろうか?
もしまた あの時 と似たような事があったら……今度こそ、私は…。

「お~い、お前の友達帰ったんだろ~? 部屋に入れてくれ~!」
扉向こうから元気な姉の声が耳に入る。

え、どうしよ……!?
泣いてるのに……でも、姉ちゃんが…!

泣きながら慌てている私に"早く開けてくれー!"と叫ぶ姉。
私は部屋の電気を一度消して、姉を部屋に入れすぐに自分の布団に入った。

「ん? なんで部屋の電気消したの? っていうか寝るんか~い!」
「……うん。なんか疲れたから」

"そっか"
姉はそれ以上、何も言わず布団に包まった私をポンポンと優しい手で撫でてくれた。
その優しさが私を余計に泣かせたのだった。

多分、姉は母や父よりも私の事を知っているんだな、とそのとき感じて
"大丈夫、一人じゃないよ"って言ってくれているようだったから。

ダメだなぁ。
こういう時"たっちゃん"と"高木君"なら泣かずに頑張れるんだろうなぁ。

私はどうやらまだまだ"格好良い"にはなれないらしい。
"たっちゃん"も"高木君"もどれくらい先にいるんだろう?
私もいつかあの二人と同じぐらい……ううん、それ以上に"格好良くありたい"

そう意識しながら数日を過ごし、今度は三人ではなく"たっちゃん"と約束した日になった。
多分、これもこれで最後なのだと感じながら、朝早く目が覚めた私はまだ皆が寝ている家の玄関で靴を履いた。

――まだ間に合うかもしれない。
家を出た私は空を見上げ、夜と朝が交じり合っているのを確認しながら、少しだけ歩いた。

このへんでいいかな?
潮風に包まれながら、防波堤に登り近くにあったテトラポットに腰を下ろす。
朝と夜と空と海が交じり合っていた。

……本当に綺麗だなぁ。
辺りには誰もいない。
うん、一人占めだ。

「…………」

ここからあっちに歩いていくと"たっちゃん"の家があるんだよね。
まだ寝ているであろう"たっちゃん"の姿を想像しながらテトラポットから立ち上がり、そこを目標に歩き始めた。

なんか不思議な感じ。
まだ寝ている(であろう)同級生の家に行くなんて。
しかもこんなに朝早くに。

そしてその数時間後には私達は仲良く遊んでいるのだ。

私がいなくなったら、あの二人は悲しむかな?
……少しぐらい悲しんでくれたら嬉しいなぁ。
それで私がいなくなっても二人は仲良いままでいてほしいな。

なんて。
我儘も考えたりして。

二人がいなくなった私はどうなるんだろう?
もう今でも感じている、この不安は正しいんだろうか?

今度の学校はどんな場所だろう?
……みんな、良い人だといいな。

イジメなんてなくて、担任も変わる事もなく
ただみんなで仲良くのんびりとした学校。
……大丈夫だよね。

そうやって小さい頭で考えて歩き、気が付けば
彼女の住んでいるであろう家を発見し、私はその場にただただ立ち止まった。