玄関前でモタモタとしていると扉向こうから二人の声が聞こえた。
間違いない、"たっちゃん"と高木君の声だ。

扉を開け、二人を家の中に案内すると私はしっかりと扉に鍵を掛けた。
お母さんや姉に言われた事はこれで守ったはずだ。

「そういえば、ムイってどんなゲームしてるの?」
「……えーっとね」

"あれから"私がゲームを買う事なんてなかった。
そもそもが遊ばないからね。
だからこの時、部屋にあるゲームソフトのほとんどは姉が欲しがったものだった。

"あの事"は"たっちゃん"も高木君も知らない。
教える必要がなかった。

「あ、俺まだコレ買ってないんだよなー!」
「どれ? あぁ、それクリアしたから貸しますよ?」

"え、マジで!? やったー!"
目をキラキラさせながら、喜ぶ彼の姿を見て
私は羨ましくなった。

いいなぁ。
少し前の私もあんな感じだったのかな。

「私はコレ好きなんだー」
続いて"たっちゃん"が口を開く。
その手に持っているのはパズルゲーム―所謂落ちゲーだった。
……丁度良いかな。

「じゃあ、三人でやってみる?」
「うん、しようしよう」

それから数時間、私達は三人で落ちゲーを遊んだ。
対戦に飽きたら、ストーリモードを三人で遊ぶというものだった。

「コイツ強いよなぁ。連鎖数がすごいし」
「うんうん。6連鎖ぐらいやってくるもんね」

二人は画面に映っている敵が倒せないらしい。
……ここってそんなに難しかったっけ?

「ちょっと次やらせて下さいな?」
「あれ、ひょっとしてムイ、勝てるの?」
「……分からないけど」

私の順番がまわってきた。
コイツはそもそも連鎖が多いから、二連二連で起爆点を潰してやれば。

「ん。これで倒せたと思う」
「成程、二連鎖の連続か」
「おぉ~!」

私は二人の関心を集めた。

「いや、姉ちゃんが教えてくれたの」
「あ~、姉ちゃんもいるもんなぁ。姉ちゃんもゲームするの?」
「明るいお姉さんだよね~」
「姉ちゃんは私よりゲーム好きだよ~。明るいのかなぁ?時々、怖いけど…」

"あ、手洗いどこ?"
高木君が立ち上がり、トイレの場所を教えると我慢していたのか早足で部屋を出て行った。
暫くして隣に座っている"たっちゃん"が口を開いた。

「ねえ、ムイ。今度さ。二人だけで会えませんか?」
「……え?」

彼女の声と目は三人でいる時のものとは違い、真剣そうだった。
だから私は考える事もせず、ただただ真剣に「はい」と頷いた。