寝れない夜。
後輩が忘れていった本を見る。

あ、ここ折れ曲がってる。
折れてるページを綺麗に整え
ページを捲り続けて数分後、読み終える。
……2001年、か。

何度も何度も読み返したんだろう。
それぐらいその本はボロボロになっていた。

manaはどんな時に、どんな考えを持って
何を思ってこれを読んでいたんだろう。
……自宅で探す君の姿が浮かぶ。

……2001年。

その頃の私は何を考えていたのか。
現在では思い出せずにいる。

ただ憶えているのは、その年はとても幸せな時間を
私は過ごしていたという事だけ。

本からはmanaの家の匂いがする。
……こんなの置いていかないでよ。

その優しい匂いに
私はただただ泣かされた。

ひとりで寂しい。
社会なんて嫌い。
そして想い疲れ

その全てが混じって
いつもなら閉じている心のドアから
溢れ出していた。