私は小さい頃からずっと猫を飼いたかったが、両親がそれを許してくれなかった。
それから年を重ねたある日、里親募集で白い可愛いふわふわした猫を見た。
私はもう一度、両親に

「猫が飼いたい、世話は自分でするから」

と伝えたら渋々、許しが出た。
母と一緒に猫がいる病院に行ってみると、白の猫が2匹、茶色い猫が3匹いた。
先生に尋ねると全員、キョウダイらしかった。

母「どの子がいいの?」

ん~…。
私は悩みに悩み続けた。

どの子もふわふわしてて可愛いのだが、一匹だけそっと触れてみると震えている子がいた。
抱こうとしてもすぐに嫌がり、時にはひっかく事や噛む事もあった。

私「んじゃあ、この子で」

母「一番、面倒臭そうな子を選ぶね。でもムイに似てるかもしれないね」

そう言われて、私はその震えていた白い猫と一緒に家に帰った。
家に帰ると父が居間にいて、すごく迷惑そうな顔をしていた。

父「猫なんて汚いもの、この部屋に入れるなよ」

その言葉に私は怒り、仕方がないので自分の部屋に猫を連れていく事にした。
時間が経つにつれて私と猫は仲良しになった。
もうひっかき攻撃もないし、噛みつきもない。
それどころか、私の後ろを必死でついてきたり、ねずみを狩って来て私の目の前に置いたりしてくれた。

私がこちらに引っ越して来て、猫の事が心配だったが。
最近、父親と猫が一緒に寝ているらしい事を母親から聞いた。

私「なんで、猫…あんなに嫌ってたのに」

母「最初は嫌がってたけど、アンタに似てるって分かったみたいなの」

私「……私と○○ちゃん(猫の名前)そんなに似てるっけ?」

母「似てるよ。本当は臆病なくせに寂しがり屋なところとか、のんびりしてるところとか。無理して強がってるところとか」

私「……ふぅん…本人自覚まったくなしなんですけどね」

母「だから仲良くなったんじゃないの……?ってあの人に代わるね」

あの人―父親の事だろうか?

父「よう、元気にしてるか?」

私「やぁ、最近は○○ちゃん(猫の名前)と寝ているらしいですね」

父「違うんだよ、アイツが勝手に俺のところにくるの!」

私「……ふぅん? 可愛いでしょ?」

父「いや、どうかな? お前には似てるけど」

私「大事にしてあげてね」

父「まあ、生きてるうちはな」

お互いに笑って電話を終える。
本当、素直じゃないんだから、うちの父親は。