ある人から連絡があった。
その人は私と同級生であり、同じクラスだった不良だ。
もう何十年も会ってないのに、話してもないのに……連絡先だって交換した憶えはない。

当然、私は驚いたし困惑した。
でもこれだけは分かった。

「ただ世間話をしたくて連絡してきたのではないのだろう」

早速、連絡してきた理由を尋ねる。
……自分の子供ではないけど、親に暴力を振るわれている子供がいて―。

つまり私の同級生―元不良はその子供の事を気に掛けている、という事だろうか。
無駄な事は話さず、怪我が表に出てるようならまず病院、その後児童相談所に連絡。
その子供と貴方が知り合いではないのなら、まずは児童相談所に相談かな……出来るのなら証拠もとりたい…信憑性が増すから。

知識も経験もない不良―同級生。
元不良だったくせに、すっかり良い人になってしまって。
……いや、不良の時も良い人間ではあったか。

何故、私の連絡先を知っているの?
そして何故、私に連絡しようと思ったの?
……私は相手に尋ねた。

連絡先はIから聞いた。
Iとは当時から現在まで友人として付き合ってもらっている人だ。
今回の件をIに話すと、Iが言ったらしい。

「そういうのならムイがなんだかんだ話を聞いてくれるから、連絡してみたら?」

元不良である相手は考えた。
「あのゲームばっかりやってた人間が、何故そんな事に詳しいのか?」

兎に角、イチかバチかで連絡をしてみた結果が今回。
そして私は言う。

「"ゲームばっかりやってた"って失礼だなぁ…現在でも”やってる”ってば」

相手はその言葉に驚き笑った。

「元不良のくせに子供を気に掛けるなんて、随分とまあ…変わったようで」

言ってて思った。
やってた事は人間性においてあまり関係ないんだ、と。
そりゃそっか、なんたって人間は矛盾するものだものね。