ゲームセンターの入り口で私は一人、右手、人差し指の上でハンドスピナーを回しながら思う。

―こんなものが売れてるって笑っちゃうなぁ。
まあ一過性に過ぎないものだと思っているけれど……ヨーヨー時代を思い出しちゃう。
どうせまた技だのなんだの、あるんだろう。
持っていても、面白さが全く分からない私。

「あ、ハンドスピナー!」

耳に入るは男の子の声。

「そこに置いてあるよ? クレーンゲームだけど」

「ねーねーまだいる? お金持ってまた来るから」

「…え、何それ、取れって事?」

「……駄目?」

「取り方は教えるけど、やるのは君だよ?」

え~…難しそう。
そう言うも、少年はそそくさと家に帰ってお金を持ってくる。

――掛かって、これぐらいの金額だろう。

私は取り方を教え、少年がスピナーを獲得するまで只管に待った。

「やった~!」

「お、すごいじゃん」

「ねーねー、これとそっち(私が使っていた方)を交換して?」

「ん? 何故? こっちは使い込んでるし、そっちが新しいでしょ?」

「それでもいいから」

「そっか、分かった。じゃあこれとそれを交換ね」

「よっしゃあ!」

元気の良い少年だった。
明るく眩しい少年だった。

―まさか、白色のスピナーと交換とは。
白色―それは私にとっていつでも特別な色だ。
……大事するしかないじゃん、こんなの。