エレベーターで先に乗っている人がいた。
「何階ですか?」と尋ねられ、私は答えた。

―ああ、聞いてくれたって事はボタンを押してくれるのか。

そう思ったが、相手は押さない。
聞いただけか~い! そう心の中で呟いては私はボタンを押そうと手を伸ばす。

ペタッ。
重なり合う手と手。

私「あ、すみません」
頭を下げる。

相手「こちらこそ申し訳ないです」
頭を下げる。

「…………………」
心臓がドキドキしていた。
うわぁ、恥ずかしい。
変なところを見られた感じだ。

相手の方を横目で見てみると相手も恥ずかしいのか顔が俯いていた。
………すごい気まずい。

目的の階へとたどり着きエレベーターの外に出て。
私は自分の手を見てみる。
さっき触れた感触が残っている。

……ん~…本当、申し訳ない事をしたなぁ。
……こんな汚い手で触れられたくなかっただろうに。
私は手を洗って、作業に戻った。