片耳が聞こえるようなっていた。
……正直、泣いたぐらいで治るとは思っていなかったし、治るとしても時間が掛かるものだとばっかり思っていた。

「……あ、起きた?」

彼女は私より先に起きて、朝ご飯を作ってくれていた。
……本当、彼女はなんでこんなところにいるんだろうか?
家事もでき、見た目も良いのに、恋人を作らない。

…いやまぁ、いろいろと理由があるのは知っているけれど。

「……ん。あと少しは寝たいですなぁ」

私がそう言って。
彼女は驚く。

「……え、聞こえてる!?」

「……あぁ、片耳だけね」

片方だけでも、確実に聞こえるのだ。
聞こえるって事は昨日よりも良くなっている事を指す。

「私のおかげですね!」

ない胸を張る後輩。
いや…貴方のおかげっていうか…映画のおかげって事じゃぁ…。

そう思ったが、言わないでおく。
だって後輩が来ている事により、私の中の何かが良くなった事は否定出来ないから。

……一人でいる時よりは落ち着くなぁ。
孤独を感じない…いやまぁ後輩以外の誰がいてもそうなるはずなんだけどね。

「でも、残念だなぁ」

「……なして?」

後輩の言葉に疑問を持つ私。

「弱っていた先輩を助ければ、軽く落とせるのかと」

「…………何も言わないでおくよ」

私達は腐れ縁であり、友人だ。
それ以上の関係を築く事はあり得ない。
あと彼女は所謂”どっちでもいける派”だし。

……私にそんな趣味はない。(理解はあるけど)
早く、ちゃんとした人に拾われてくれないだろうか?

……本当に勿体ない。