「~~~~!」

教えておいた最寄り駅にて後輩と目が合い、後輩が泣きそうな顔をしながらこちらに言葉を掛けている。
だけど、私には聞こえない。

現在、私がストレス(?)により両耳が音を拾えない事を知っている彼女は軽い荷物を持ちながら私の方に走って、抱きついた。

「~~~」

耳は聞こえずとも何となく分かる彼女の言葉。
私がいなくなった地元、そこで過ごす彼女、相当寂しかったのだろうとただ自惚れた。

抱きついてきた彼女の頭を優しく撫でた後、私は彼女の持つ大きなリュックサックを持って歩く。
後輩である彼女も私の隣で微笑み、その両足を動かしていた。

「……都会とは分かってましたけど、実際に来たらやっぱりびっくりしますね~」

後輩からLINEが届く。

「まあ、自然はないですけどね~…」

勿論、自分の声も拾えない私の両耳。
だけど彼女には聞こえるだろう、私の声が。

二人で外食を済ませ、私の家に帰る。
後輩を先にお風呂に入れさせて、私が後に入る。

その後、私が購入した一枚のブルーレイ…青春映画を二人で見る。
映画には日本語字幕があり、音を拾えない私にも十分、内容が理解出来た。
(まあ、過去に何度も見返している作品だから内容は全て私の頭に入っているのだけれども)

映画を見た後、二人して泣いた。
傍から見れば、それはとてもバカバカしいものだっただろう。
けれど、ここに私達以外の人間はいない。

私も後輩も、この映画みたいな恋愛をしているのだ。
感動しないわけがないのだ。

後輩は私の身体を気遣い、お客様のくせに用意されてあるベットを私に譲ろうとする。

「そんな事しないでも、二人で寝ればいいじゃんね、別に」

私がそう言うと、彼女は嬉しそうに微笑み、私の言ったのだ。

「~~~~~」

「何? 聞こえないってば~!」

私がそう言うと、彼女はLINEで文字を送って来た。

「だから言ってるんですよ」

くそぉ、後輩が何を言ったのか気になって寝れないじゃないか。
……なんてね。