とある駅で降り、帰路に着く。
音楽を聴いて帰ろうとイヤフォンを付けて歩く私に彼は近付いてきた。

―今、少しだけお時間よろしいですか?

別に急いでいるわけではない私。
でも、こういうのは本当に面倒くさい。

大体、なんで私なんかに話を掛けて来たんだろう?
この人は…まあなんとなくなんだろうけど。

結局、話だけは聞く私。
なんでもアンケートで集計を取っているらしい。
アンケートを書いて手渡すと、それからも彼の話は続いた。

話を聞く事、数十分。

私達はとても仲良くなった。
…くそぉ、素で対応したら気に入られてしまった。

私の事を面白いと思ってくれている彼。
営業はとても上手い……でも仲良くなったからといって警戒が解けたわけではない。
…また変な人に気に入られたものだ。