夜の田舎町を私達は歩く。
手を繋いで。

「…あのさ。ひとつ聞いてもいい?」

ん?
と私は隣で歩いているYの顔を見て訊ねる。

「…もしもさ。こっちが復活してそっちが復活しなかったらどうするん?」

そんな事を質問してきたYの手には汗が出ていた。
…緊張…これから起こる事が分からないから怖いんだろう。
…でもそれはきっと私も同じなのだ。

「それはそれでしょ? 君が気にする事じゃないよ?…それに逆もあるわけで」

私は笑って言う。
私まで怖がっていては私達の足は止まってしまうから。

「…だったら―」

不思議とYが次に言う言葉は分かってしまった。
それはあの病院にいた時の時間がそうさせてくれたのか。

「…はいはい。それは言っちゃいけないよ? 私が好きなのはAで君が好きなのはMでしょ? 愛がないのに付き合ってどうするのさ? 一人が寂しいっていう理由もあるだろうけど、そんなんで付き合っちゃいけないよ?」

―勿体ない。
私だって一人ぼっちは嫌だ。

「……愛はあるんだけどなぁ」

ハッキリと。
隣を歩いているYは私の顔を見てそう言った。

「…Aもそうだけど。君達はすぐに情を作ってしまうから…厄介なものだよねー…」

それでも私は私の考えを変える事は出来なかった。

「情と好きと愛を一緒にしないで。迷わないで。本当に欲しいもののためだけに行動しなよ」

…結果はどうであれ。

「ムイはAを好き? 愛してるの?」

「そうっすね~…結婚したいぐらいには」

「…結婚ってぞっこんじゃないですかー…ならこれからAのところに行って言ってやったら?」

「学生の分際で結婚してって? しかも私から?」

「いいね~ぶっとんでる」

そしていつしか私達はAの家の近くにいた。
その事に気付いた私達は歩みを止める。

「んじゃ、あのバカに喧嘩売ってくるかなー…そっちも頑張って」

言って。
私は振り向きYとの手を離した。
………つもりだった。

ぐいっと私はYに引っ張られ抱きしめられるかたちとなった。

「ありがと…一人が寂しい時に一緒にいてくれて…ムイの幸せを祈っとくから」

そう言ったYの声は震え、顔を覗いてみると両目から涙が流れていた。

「…バカだなぁ。こんな捻くれ者の元転校生にお礼は要らないんだよ?」

「……Aが…前言ってた。ムイ…は、ずるい…って」

「はぁ? そんな事言ってたん? あのバカ」

「……今なら分かるし、勿体、ない、と思う…なんでもっとその優しさを表に出さないん?」

「……そりゃ~捻くれ者だからね。素直に感謝されたくないしさ。あ、違う。そもそも感謝をされたくないんだ。私っていう人間に感謝なんてする必要性がどこにもないんだ。私は私本意で行動している事が多いから、他の人が怖がろうが嫌がろうがそんな事、知った事じゃなくて引っ張りたいなら引き摺ってでも相手を連れていくのさ」

 「……感謝ぐらいさせて欲しい」

「ダーメ。私の勝手な行動なんだから」

今回も例外はない。

「ほら、そろそろ私の話は終わりにして、Yも行かないとね?」

ここはお互いに心地良い場所になってしまったから。

「…ん。じゃあ終わったらお互いに結果を報告しよ」

 「うん」

そう約束して私達は今度こそ別れ、それぞれの道に向かって歩き出した。