夢衣の足跡

別にゲーム攻略ってわけじゃなく 紹介ってわけでもない。 ―これはただの足跡。

正直に言えば、手術日なんてあまり気にしてなかった。それでも当然、怖さや不安はあったけれど。それよりももっと気になる事、怖い事が私にはあったから。「姫さんとお兄さんの仲直り」その事に対して私は結局、何も出来ないままその日を迎えてしまった。「それじゃあ、行こ ...

遅かったね。病室に戻って来た私達にむかって姫さんはそう口を開いた。その姫さんの声はいつもよりやや低めで、いまどんな表情をしているのか目が見えない私には分からなかった。「仲良く話をしていただけだよねー? ムイちゃん」言って。姫さんのお母さんと思われる人物は ...

「……あのっ!」姫さんのお母さんと思われる人物と手を繋ぎながら売店に向かう。その途中で私は彼女に勇気を振り絞りながら話し掛けた。普段はなんともないはずの顔がとても熱く、耳まで熱いのが分かった。声は震え、多分手汗も出ていた事だろう。「あら、どうしたの?」自 ...

薄々は分かっていた。もうお兄さんはこの場所には来ないんだろう、と。あの時の姫さんとお兄さんの言葉、声、そして終わり方でそう感じてしまった。思えば敏感な子供だったと思う。人より目がみえない分、声のトーン、そして会話途中の間で大体の事を察していた。それは当た ...

それはいつものように母が病室に訪れた時だった。母は私の使用した着替えを大きな袋のようなものに入れ、代わりとなるものを入れ物にしまい病室においた。そんな事がここに来て何度繰り返されていたのか時間感覚の薄い私には分からなかった。さて、と。着替え云々を済ませた ...

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